塀の中


電車の四人掛けボックス席に一人で座っていたら、向かいの席に座った男性から

「ちょっと荷物見ておいてもらえますか?トイレ行ってきます」と言われた。

戻ってきた男性は、今度は何も言わず席を外し、しばらくして戻って来たら

「御飯食べてきました。美味しかった」とのたまふ。

(え?どこで食べてきたの?まさか電車のトイレで?)
男性「今日は〇〇(地名)までですか?」

私「はいそうです」

男性「私もです。買い物に」

始終にこにこ顔の彼、車窓を眺めながら

 「ここに刑務所あるのご存知ですか?」

私「知ってますよ。以前横を通って通勤していました」

男性「中はけっこう自由で楽しいんですよ」

私(?‥‥‥?(。´・ω・)?)

私「あ~そういえば私、中に入った事ありますよ。クリスマス会に行ったことが」

クリスチャンでクリスマス礼拝のあと二胡を弾きに毎年行っていた友人に誘われて二回ほど一緒に演奏に行った。

男性「受刑者どんなでした?」

私「う~ん?楽器の演奏で行ったので…え~と、皆さんピシッとしてらっしゃいましたよ」

男性「そういうのみんな楽しみにしてるんです。中の生活は健全なんですよ。」

私「でしょうね~。早寝早起きで規則正しい生活ですね」

男性「40分自由時間があって、運動したり、喋ったり、テレビも見られるし」

(え~~っと、なんか自然な会話が続いてるけど、つうことはこの人元受刑者さん?)と頭の中で

色々考えながら、

私「健康的ですね」

男性「はい、煙草も覚せい剤もないですから」

(当たり前だろ)

男性「今日はあいにくの雨ですね」

(暴風雨だった)

私「ですね、風も強いですしね」

男性「でも風が冷たくないからいいですよね」

私「確かに、冬に比べたらね」

‥‥というところで二人の目的の駅に到着。

男性「話してたらあっと言う間に着きましたね」

私「あはは、ほんとにね」

ということでお別れしたが、ちょっと不思議な午後の出会いだった。


杉山久子ののほほんブログ  ~小鳥来るるる日記~

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