西東三鬼の出身地津山の俳句会『綱』の記念合同句集をいただいた。
百号というのはやはり感慨深いものだろう。雑誌を百回出し続けるということ、様々な会員の様々な思いが積み重なっての年月の重みも。
まず最初に、6年前に亡くなられた代表であった白石不舎氏の句が
「弟子たちが選んだ不舎の句30句」として掲載されている。
春めくやどんな顔にも中心線
もそもそのもぐらの土の先の春
月面にまず咲かせたし菫草
師を失ったのちの会員の皆さんの師と俳句に寄せる気持ちが濃く、熱い。
句座の自由な空気を感じる句たち。
花林檎もの言はぬ子と畑を打つ 有元露庵
行人の振り向く顔にのこる夏 右手采遊
大根煮る言いたきことはまた明日 小川蝸歩
夏薊いつもどこかに掠り傷 黒瀬琢葉
凍蝶を閉じ籠めしまま手紙書く 小谷手毬
初恋の話半分桜餅 小林透亘
大寒に生れし人なり小柄なり 小林直岑
秋風や肺を静かに開く音 下条泱布
春の星怒りにラップかけておく 高田 憬
夕焼の手前で降りる山の駅 髙村蔦青
先にいってしまわないで春の 竹内亨佑
われいつも春の明るさ波へ立つ 武本明波
ロボットの介護応援日短 豊田級衣
たましひは初め三角葦の角 永禮能孚
雪の峰因数分解まだ解けぬ 沼本養丱
ひとつだけ内緒を沈めおでん鍋 春名風来
指貫を外して月に身を晒す 福島閑雀
膝ついて秋をむかえに拭く廊下 福島翠夕
それにしても、私の漢字読解能力では読めない俳号だらけ(笑)
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